レノファの債務超過について考えてみる。

蘇る”お友達内閣”。

 

 

昨日、5月31日、三木氏の退任で空いていたテクニカルコーチのポストに武石康平氏が再任という形で就任されました。

 

 

www.renofa.com

 

 

正直に申し上げますとこの人事には不安しかないです。

 

武石氏は18~20年シーズンの3年間、レノファのテクニカルコーチとして塾長と共に虚無サッカーを作り上げ、21年は相模原のコーチ(何のコーチ?記載がありません)として(まぁ、色んな事情があったんでしょうけど)J3降格、22年は同クラブにてヘッドコーチに格上げされるという謎の昇進を果たすも、相模原今シーズンJ3でここまで15位と何とも言えない成績となっており、5月20日に監督の高木氏と共にチームを去っています(高木氏は解任。武石氏は辞任)。

 

なんか空いていたテクニカルコーチの座に、他クラブから超有能な人材を引き抜いた、っていうより(そんなことシーズン中にあり得ることなのかい?とは思いますが)、在野に居た元知り合いに声を掛けただけ、っていう人事に見えるんですよね。

 

こういう書き方は失礼ですし本当に良くないんですが、武石氏のキャリア、あまりにもパッとしないんですよね。

テクニカルコーチとしても、コーチ(ヘッドコーチ)としても、一目で分かるような成功で彩られた華やかな結果を出せてないんですよ。

 

っていうか履歴書だけ見るとむしろ逆。

 

まぁ、コーチ業って思いっきり裏方稼業な訳ですし、武石氏本人はめちゃくちゃ有能だったのにチームとしては(色んな要素で)偶然結果が出なかったっていう可能性もあるわけで、我々見るだけの側の人間がコーチを評価出来るわけもないんですがね。

 

それでもやっぱり不安の感情が大きいです。

 

何と言っても先述の通り”塾長政権下のスタッフの一人だった”っていうのが頭をもたげるんですよ。

 

しかしながら、現在のレノファのスタッフ陣は監督含め、ほぼ塾長政権下メンバーの残党で回してまして。

ここまで霜田ファミリーは霜田臭が強いサッカーを展開こそしてますが、塾長本人程狂った采配はもうしてないんですよね(見てて「ヲイ」と言いたくなることが無いわけではありませんが)。

なので18~20年の、少なくとも私がレノファの試合を全試合見始めた19~20年に繰り広げられた虚無かつクレイジーな霜田サッカーは、やはり塾長本人の主導によるモノだったんじゃないかなぁ、なんて思ってるんですよ。

 

てことで、塾長本人がチームから去った後の方がチームとしてまともに(リスキーなやり方で戦ってるとは思いますが)霜田サッカーを体現出来てる現状、意外に武石氏のテクニカルコーチ再任がハマる可能性も捨てきれないんですよね。

(武石氏のテクニカルコーチ再任が)J2リーグに属する他クラブとの比較で「より勝てる可能性が高くなる」という話ではなく「今レノファが目指してるサッカーの強化にはなるんじゃないか」という観点で見たらって話なんですがね。

 

まぁ、何より武石氏若いです。

現在26歳とまだまだこれからの方です。

若干22歳でプロクラブのコーチとしてキャリアをスタートされたわけで。

ここまででヘッドコーチも含めた色んな立場で仕事をこなされて来た経験自体は無視出来ません。

端から無責任に見ると失敗の方が多かったんじゃないかと邪推してしまいますが、その失敗から学んだこと、あるいはこちらからは分らない成功もあったはずで、それらを踏まえた上で成長していただきレノファのサッカーの強化のために貢献してくれることに期待させてもらいます。

 

 

「お前どの立場からモノを言っとんねん」って話で偉そうにすんまへん。

今までJ3での戦いに照準を合わせてたのに、これからはカテゴリーの違うリーグのチームの分析をしていくわけで大変だとは思いますが、頑張ってください。

 

 

 

 

長々ぐちゃぐちゃと武石氏のテクニカルコーチ就任に関して感想を書いてきましたが、ちゃうねん、今回私が書きたかったことの本題はそこじゃないのねん。

 

私が今回書きたかったテーマはこれ↓

 

 

sakanowa.jp

 

 

ついに来た。やっと来た。

J2リーグ営業収益」が発表され、しかもそれがランキング形式という分かりやすい形で記事化され申したぞ。

 

今回はこの記事と、私が「クラブライセンス交付」についての資料をポケ~っと眺めつつ思った「レノファの債務超過」にまつわる感想・考察(のようなモノ)なんかを書いていきたいと思ます。

よろしくどうぞ。

 

じゃ、いくー。

 

 

まず、この記事ではレノファの過去の収益も記載してくれているんですが。

 

山口 1,289 1,043 1,010 ▲33

 

と、まぁ、コロナの影響もあってか順調に収益を落とし続けてますな。

 

2019年度決算では黒字。

2020年度決算では赤字。

2021年度決算では赤字。

 

てことで2期連続赤字、と。

 

ここで問題になってくるのが「クラブライセンス」。

平たくこの制度を解釈すると「クラブのリーグ参加資格」のことです。

毎年審査され、条件を満たしたクラブにのみ交付されるライセンス。

 

審査項目はパッと見た限りめっちゃ多岐にわたるんですけど(スタジアムのトイレ数とか屋根のカバー率とか)、今回見るのは財務基準のところ(レノファはその他の基準は「J1クラブライセンス」を交付されたあたり全て満たしていると考えて差し支えないでしょう)。

 

通常、クラブは3期連続で赤字を出すか債務超過に陥るとペナルティーが発生します。

 

J1・2クラブは下位カテゴリーに降格、J3クラブは次シーズン勝ち点-10スタート。

重~い罰則を受けちゃうわけです。

 

てことで2期連続で赤字を叩き出して、かつ債務超過に陥ったレノファやべぇぞ、と。

 

 

(ちなみになんですが、「赤字」と「債務超過」の違いについて触れておこうと思います。

 

債務超過とは、「債務者の負担する債務の額が、資産の額を上回っている状態」(野村証券「証券用語解説集」)で、会社の資産をすべて売却したとしても負債が残ってしまうことを指す。

 

赤字は、ある一定期間において、支出が収入を上回る状態のことをいう。そのため、資産の売却などを行えば、赤字は解消することができる。

 

つまり「赤字が続くと債務超過になりやすいよ」って認識で大体okなはずです。

 

Jリーグ債務超過に陥ってほしくないから赤字の連発を危惧する制度を作ったんでしょうねぇ)

 

 

債務超過はやべぇです。

マジでやべぇです。

一発アウト。

赤字なら「3年連続で出すな」っていう猶予があるんですけど、債務超過に対してはそんな生易しくない。

赤字がイエローカードなら債務超過はレッドカードよ。

 

 

ただ、20年度決算で債務超過、21年度決算で債務超過解消どころかむしろ債務超過額が増えたレノファですが、この2年間はJリーグが”特例措置”を設けてくれてたんですよね。

 

 

·  債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない

 

·  対象年度に新たに債務超過に陥っても判定対象としない

 

 

この2つのルールによってなんとかペナルティーを免れたレノファですが、今年度22年決算と翌23年度決算では”猶予期間”が新たに適用されます。

 

 

·   債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない

 

·   新たに債務超過に陥ってはいけない

 

·   3期連続赤字のカウントをスタートする

 

 

この3つの項目の中でレノファが特に意識しなければならないのが1つ目の項目でしょう。

2つ目に関しては既に債務超過ですしおすし、3つ目に関しては赤字云々言ってる場合じゃなく早急に一発レッドの債務超過をどげんとせんかいかんわけで。

 

24年度、25年度以降は

 

 

·    債務超過が解消されていなければならない

 

·    赤字が継続しているクラブは、3期連続赤字に抵触する可能性がある

 

 

という”特例措置なし”の通常ルールに戻るだけに悠長に構えてられんのです。

 

 

現在抱えてるレノファの債務超過額は2.09億円とのこと。

 

 

”猶予期間”と”特例措置なし”の適用期間を考えれば、22、23、24年度の3年間で、収益がこの2.09億円を上回らなければならないわけです。

 

小山社長勝負の3年間ですねぇ。

 

取り敢えず今年度の決算で21年度の決算を上回らなければなりません。

私は経営のノウハウは一切知らんので無責任に書きますが、22年度決算に関しては21年度決算を上回る収益を弾き出せるんじゃないかなぁ、なんて思ってます。

 

去年度よりもザッと3千万円以上の利益を出さないとならないわけで、(債務超過解決に向けて)小山社長は就任会見にて「黒字化か増資か」の2択で「増資」をチョイスされてました。

 

その増資額がいかほどかによってまた考え方が変わるんですが、私はね、レノファって「選手に金掛けすぎ」だと思うんですよ。

 

なんか身の丈(クラブ規模)に合ってないと感じるんですよね。

 

レノファって2015~19年までは5期連続で増収だったわけじゃないですか。

そこから順調にJ2に残留しつつJ1を目指す体制を作るに当たって、特に選手に投資しすぎたんじゃないかなぁ、と感じるんですよね。

レノファが赤字を出す最大の原因は”人件費”。

2019年以降はコロナの影響によるスポンサーの撤退等も絡んだりしてるんで一概には言えないんですけど、コロナ以前から増収にも関わらず赤字になったりしたのは人件費が大きすぎるからでしょう。

人件費って選手だけに適用されるもんでもないので、監督とかコーチとか、他にもフロント陣の給与だとかも含まれるのは分るんですけどね。

まぁ、流石にフロント陣(GM、営業、会計とか)が何人居て、どれくらいもらってるかなんて正確に分かりようもないんで選手・スタッフ陣だけで見て判断するしかないんですが、最終的にやっぱりレノファって「選手に金掛けすぎ」なんじゃないかな、ってところに着地するんですよ。

 

今回触れた「J2営業収益ランキング」の記事で、レノファの一個下、14位になったのが栃木SC

このクラブは21年度決算でしっかり黒字を叩き出してます。

で、私、監督やコーチ(まぁ、選手もそうなんですが)の年俸相場を知らないんで、だいぶザックリとした根拠のないことを前提に書くんですけど、監督は別として、コーチの年俸ってそこまでどのクラブも変わらないんじゃないかなぁ、と思ってるんですよ。

J1クラブの、とか、外国人スタッフ、とかになってくると変わってきそうですが、J2のコーチの年俸はそこまでチームによって(給与面で)待遇変わらないでしょ。

いや、ホント根拠無いんですがね。

 

現在の栃木SCの公式ホームページに載っているスタッフの人数とレノファのスタッフの人数比べたら、栃木が12人、レノファが(新任の武石氏含めて)14人。

栃木SCが21年度決算で1億近い黒字を出したのに対し、レノファは3千万以上の赤字を出した要因で「スタッフ(監督・コーチ)の数関係なくね?」って思っちゃいません?

(時系列が違うんで一概には言えないんですが・・・。前後の年で多少スタッフ数が変わったとしてチームの人件費が乱高下するとはやはり思えないんですよ)

スタッフ陣の給与が果たして経営を圧迫させるほどのものなのか・・・。

実際レノファは元々の予算の範囲内だったのもあるかもですが、空いたテクニカルコーチのポストにまた割とすぐに人を雇ってますし、やっぱスタッフの給与は人件費の大多数は占めないと思うんですよね。

(ちなみにお隣ランキング9位の岡山は去年度黒字で、かつ今年スタッフの数もレノファより多い15人)

 

てことでチーム人件費を圧迫する原因として残す可能性は”フロント陣多すぎ・もらいすぎ”か”選手に金掛けすぎ”のどちらかなはず。

前者は先述の通り分かりようがない、後者も分かりにくいんですが、少なくともフロント陣が多すぎたりもらいすぎたりするような経営上のミスって考えにくいんですよね。

ただでさえ一部のクラブを除いた実入りが少ないJ2リーグに属するクラブが、赤字連発や債務超過を起こせないレギュレーションの中でうっかりそんなミスするかね?って話で。

普通いの一番に削減される対象になる部分でしょう。

これに関しても根拠ないんで正確な話ではないんですが、サッカー業界の性質上、やっぱり人件費の圧迫は”選手に金掛けすぎ”の方なんじゃないかなぁ、と思うんですよ。

 

複数年で獲得した年俸高めの選手がベンチ。

 

とか、ありがちなミスよくあるし実際目撃するじゃないですか。

そんな感じでレノファもやっちまったんじゃないでしょうか。

 

また比較しますけど、栃木のホームページに載っている選手は計30人、一方レノファは(先日2種登録された選手たちは除いて)計34人、内5人がレンタルでチームに居ません。

5人レンタルされてますが、GKの山田は就活のニュアンスが強く、他の選手は修行です。

山田の年俸がいかほどかは知りませんし分かりませんが、他4人(実績のない若手4名、あ、でも新保は実績あるか・・・)の年俸がチーム全体の選手年俸を跳ね上げてるとも思えないので、残された29名の年俸が高すぎるんですよ。

 

 

てことで来年以降辺り選手の移籍、主に出て行く方の移籍多くなるかも。

 

 

と予想します。

私、岡山の社長の「Jリーグクラブ3年周期説」を信じておりまして、あの「3期連続で赤字出したらアウトなら2年は投資出来るやん」(というニュアンスのことを以前インタビュー記事でコメントされてました)っていうやつ。

 

2019年度決算が黒字だったレノファですから、20、21年は赤字でも大丈夫だったんですよ。

ただ、コロナで赤字が債務超過にまで膨らんでしまったのは予想外だったでしょうけども。

てことでコロナで予想外の赤字かつ債務超過に陥ってしまったレノファですが、多分元々はこの2年間は赤字覚悟予定だったと思うんですよね。

 

本来なら赤字とはいえもっと楽に22年度決算を迎えるはずだったんでしょうけど、かなり想定範囲外な事態になってしまった、と。

 

まぁ、しかしながらそんななかでも若手にレンタル修行をさせに行かせたりした事実や、最近のフロント陣の一斉応募、6月に「レノファ会議」なるフロント陣とファン・サポーターの意見交換の場を設けたりしたということは、それなりに債務超過解決の目途が立ったってことなんだと思うんですよね。

 

まずもって債務超過のレノファが解決の目途も立ってないのにファン・サポーターとの意見交換の場なんて設けないでしょう。

債務超過どうするんすか?」って質問絶対出ることが予想出来ますやん。

レノファの未来を一緒に考える場に、実は足元の問題何一つ解決の目途すら立ってないんですよね~、なんて状態で挑めるわけないやん、っていう。

 

そしてレンタル組の存在。

債務超過でありながら早急に選手を切る判断をせず、可能な限り残留させたうえで若手のレンタル。

今年名塚監督のやりたいサッカーを見て、その上で合う・合わない選手が出て来るでしょうから、合わなかった選手とレンタルさせた組を入れ替える、と見るのが普通なのかな、と。

なのであんまり考えてなかったんですけど、多分今年ってかなり「選別の年」の色が強いんじゃないでしょうか。

 

レノファのフロント陣のプラン的には(”3年周期説”を推すなら)冒険できるのは今年の選手たちまでのはずで、来年以降は収益をプラスにしていかなければならない関係上、そして予想外に膨らんでしまった債務超過額の減少を狙うはずのなので、今年のオフは少なくとも4名以上の”今年の”主力選手がレノファを去るんじゃないでしょうか。

 

 

 

 

以上が「レノファの債務超過」に対して「J2リーグ営業収益ランキング」の記事と「クラブライセンス」の資料を見て思ったことです。

 

実際、現実的に債務超過解消に向けて「増資」が小山社長が就任に際して打ち出した解決法で「選手の取捨選択」辺りは私がそれに伴う現象として起こりうる可能性があるんじゃないかな、という予想の話でした。

 

武石氏のテクニカルコーチ再任という件からも、名塚監督のある程度の長期政権化は予想できますし(過去共に過ごしたお友達・部下の着任)、順位的なところで結果が伴うかは分かりませんが、お金という現実的な問題が発生している以上、ここは名塚サッカーに合う選手たちを取捨選択して編成してほしいですね。

 

身の丈(クラブ規模)以上の選手たちでJ2リーグを7年過ごせたのも事実ではありますし、そのやり方は否定出来るものではありませんが、環境が変わってしまいました。

 

しばらくは今までのやり方を変えなければそもJ2リーグで戦う資格を失ってしまうのが現状です。

 

ジャンボ交代からもっと察するべきでしたが、レノファは今がまさに変革期です。

 

小山社長は就任初年度から思ったより勝負時、耐え時を迎えていたようです。

選手やスタッフ陣の編成の仕事は社長というよりGMの仕事です。

現行の石原GMはジャンボ時代の人です。

今までのやり方では立ちいかなくなった以上、小山社長の変革にどうか石原GMもアジャストしていってほしいところ。

小山・石原コンビが作る新しいレノファに期待と注目をしつつ、このコンビの試行錯誤を見守っていきたいです。