霜田監督のサッカーを考えてみる 3

前回までは大枠で霜田監督のサッカーを考えてみましたので、今回はより具体的に霜田監督のサッカーを掘り下げてみようかと思います。そして、「どんなサッカーをしたか」「結果2019シーズンはどうだったのか」「2020シーズンはどうなるか(推測)」を書いてみたいと思います。




まず、大枠のおさらいですが、霜田監督と社長、GMが設定したレノファのスタイルが

「レノファは面白いサッカーをやっている。あそこに行けばサッカーが上手くなる。だからレノファに行きたい。選手がそういってくれるチームにしたい」

というものでした。


そのため、就任1年目の2018年は

「攻めながら守り、守りながら攻める。攻守を分けないで考えるトータルフットボール

を目指しました。


では、就任2年目の2019年はどんなサッカーだったのか。

「相手陣地に押し込んで相手陣地でボールを保持する。奪われたらその場で奪い返して、なるべく相手陣地で相手のゴールに向かったサッカー」

にチャレンジしていたようです。


このサッカーを大指針としつつ


「誰か一人のストライカーに頼ることなく、日本人のストライカーでみんなでコンビネーションで崩しながら、チャンスをたくさん作りながら点を取っていくというスタイル」(←これは2018年シーズンから取り組んでいたようです)

「ゆっくり遅攻でコンビネーションで崩す。あるいはサイドアタックでクロスから崩す、そして相手にプレッシャーを掛けてショートカウンターなり、ロングカウンターなり、いろいろな形で点を取ろう。3トップに点を取らせようということでチーム作りをしてきている」


といったことに取り組んでいたようです。


「サッカー選手として全部上手くあれ!」といった印象を受けるサッカーですが、霜田監督は日本サッカー協会(JFA)の技術委員として、2010年サッカー日本代表監督のザッケローニの元、対戦国のスカウティングを担当していたようなので「対戦相手は丸裸にしとくから後は上手いこと勝て!」ということなのでしょうかね。

そんなことないでしょうね。




この

「相手陣地に押し込んで相手陣地でボールを保持する。奪われたらその場で奪い返して、なるべく相手陣地で相手のゴールに向かったサッカー」

ですが

「そうなると自陣には大きなスペースが出てくるので、そこのカウンターをどう防ぐかが課題であって、人に頼るのではなくて、コンビネーションやコミュニケーションでカウンターを遅らせる。しっかり遅らせてみんなが戻る時間を作ることができていればいい試合ができるのですが、できないと失点してしまう。それが1シーズン通してできるときとできないときがはっきりしていた」

と、2019シーズン最終節で霜田監督が振り返ったように課題を残すことになりました。

この課題に対して

「若いディフェンスラインが良いときは良いですが、リズムが悪くなるとき、相手のペースになるとき、そういうときに跳ね返し、自分たちのリズムを取り戻すというゲームコントロールのところで幼さが出てしまった」

「自分たちで何をすべきか。相手のリズムなのか自分たちのリズムなのか。どこが自分たちが今やられている原因なのか。残念ながら後半は、僕のところからセンターバックには声が届きません。上から見ているスタッフから問題点を修正されても、ピッチの中で彼らが考えて、彼らが感じて、彼らがお互いに喋って、そうやって修正していかないと、いつまでもベンチから指示を待つ。選手交代で流れを変える。ゲームが始まればやはり選手たちは自分たちで考えて、自分たちで判断をしなければならない。そういうところがまだ足りない」

と、選手達自身で状況を判断し、解決していく「判断力」と「実行力」が足りないことを指摘していました。


「相手陣地内でサッカーをする」ために選手達自身の「自立」を求められたシーズンだったのかなと思います。




ではこれらの課題を踏まえ2020年はどんなサッカーをするでしょうか。


2019年シーズンの第41節時点で

「クラブのカラーを確立させながら勝ち点を取って、実際に昇格争いをするためには何が必要なのか。そういうことを考えなければいけないと思っています。」

と語っていたように、私は、「大指針は変更せず課題に向き合う」と思います。


また霜田監督は課題への解決策として

「練習、経験が必要だと思います。」

とよくコメントしていました。


選手個人の経験値はお金で買えませんが、経験のある選手はお金で買えます。


試合の流れを読み、自身で判断し動ける経験のある選手。


そんな選手達が2020年シーズンレノファにたくさん加入してくれました。

これまでの移籍で【in】の選手を見てみると、高卒・大卒・ユースからの獲得、昇格を除き、完全移籍で獲得した選手は30代の選手がほとんどです。

2019年のメンバーと比較しても、ベテランと呼ばれる選手達が増えました。


おそらく、細かいところで戦術に変更はあるのでしょうが、大指針である「相手陣地内でサッカーをする」ための手は確実に打ったといえると思います。

この試合の流れを読めて、自身で判断し動ける選手達を交えた2020年シーズン。
更なるスタイルの強化と覚醒を楽しみにしたいです。




次回はレノファの中・長期計画をさらいながら、振り返りと今後を書いてみたいと思います。