霜田監督のサッカーを考えてみる 2

2017年秋にレノファの社長とGMが当時ベルギーにいた霜田さんに監督の打診されたそうです。


その際話された内容は

「スタイルを作りましょう」

ということでした。

そして、そのスタイルの内容は

「レノファは面白いサッカーをやっている。あそこに行けばサッカーが上手くなる。だからレノファに行きたい。選手がそういってくれるチームにしたい」

というものと

J3に落ちてはいけない」

というものでした。


「レノファでサッカーをしたい」と選手から思われる魅力的なチーム作り、そして、そうはいってもカテゴリーが落ちてしまっては、いくら魅力的なチームであっても選手が集まってくれないので「J3には落ちない」という大指針が設定されました。


では、「レノファでサッカーをしたい」と思われるために霜田監督はどういうサッカーを目指したのか。


それは

「攻めながら守り、守りながら攻める。攻守を分けないで考えるトータルフットボール

でした。


そのために

「失点だけにフォーカスして守るだけのサッカーになるのを避けた」

とのことでした。


そして2018年は過去最高順位の8位を記録しました。

チーム得点数は63点でリーグで4位タイで、監督が「ブランディングでは成功と捉える」と振り返ったように得点ではかなりの成功を収めました。

が。

失点は64点とリーグでワースト4位となりました。

これに関しては「ブランディングを重視した1年目だからこそ失点に関しては意図的に目をつむった」と語っていたように承知の上だったようです。

それに、先程の「レノファでサッカーをしたい」と思われるためのブランディング、「J3には落ちない」という大指針から考えれば2018年は大成功だったといえると思います。


実際、2019年は吉濱、パウロ、佐々木、夏からではありますが川井、高ら実力者から各クラブのプロスペクト達が加入してくれました。


では、2019年の成績はどうだったか。
()は前年2018年の数字です。


勝ち点47(61)、勝ち数13(16)、引き分け8(13)、負け数21(13)、得点54(63)、失点70(64)で15位(8)でした。


失点は上がり、それ以外は下がりました。
つまり成績は落ちました。


2019年を振り返るコメントの中で、霜田監督が

「若い選手を鍛え成長を促しながら同時にチーム強化をしていく というミッションの難しさを痛感させられた1年」

「非常にもったいない試合をしてしまうことが多く~」

といわれていました。


確かに2019年のレノファのレギュラーメンバーは若手が多く、4バックの中央2枚は、ほとんどの試合で楠本、菊池とプロ2年目と1年目のコンビでした。

第41節 モンテディオ山形戦に2-3で逆転負けした際のコメントで

「いろいろ変えなければいけないと思うが、クラブのスタイル、カラーを確立させながら勝ち点を取って実際に昇格争いをするために何が必要か」

「自分たちで考える、自分たちで何をすべきか、相手のリズムなのか自分たちのリズムなのか、どこが自分たちが今やられている原因なのか」

とあったように、「自分たちで修正する能力」が足りていませんでした。


ちなみにこの「自分たちで修正する能力」なのですが、これはレノファの大指針の中の「あそこに行けばサッカーが上手くなる」要因の大きなポイントだと思っています。

私はてっきりテクニックや戦術理解の強化という意味かと思っていたのですが(いえ、もちろんこれらもあると思いますが)、「自分たちで修正する能力」いわゆる「自己判断力」「自立」を強化する意味合いが強かったのではないかと思います。

現に「試合中にセンターバックに僕の指示が通らない(聞こえない)こともある」ということもコメントされていたので、この「自分たちで修正する能力」というのは霜田監督が選手たちに求めているものなのだろうと思います。




話が少し逸れてしまいましたが、では2019年シーズンはレノファの大指針的にはどうだったのか。


まず、「J3には落ちない」という点で見ると、第38節 ジェフユナイテッド千葉戦に勝利してJ2残留を決めるなど、印象として「危なげなく残留」を果たしたように感じます。

ではブランディングの方、「レノファに行きたい」と思われるものを残せたか。

これに関しては意見が飛躍してしまうかもしれませんが、移籍を見てみるといいかもしれません。

2019年にレノファのレギュラーだった菊池、前、三幸がそれぞれJ1へ。山下がジェフ千葉へと移籍。

菊池や山下は大卒。
前は他クラブから。
三幸は浪人(契約クラブ無し)していたところから。

ということを考えてみても、選手たちからすれば「レノファでレギュラーを取ればステップアップ出来る」と思える十分な結果を残せたのではないでしょうか。


以上から2019年も大指針から見れば成功といえる年になったのではないかと思っています。


では、こういった経緯もふまえて、次は2020年シーズンはどういったことに期待したいかや、レノファのクラブとしての中・長期計画を見つつ何が起きそうか等を書いていければと思います。