今までのコメントから推測するエスナイデルの現場戦略。

エスナイデルがレノファの監督に就任して、早いものでもう9試合経過しました。

 

 

エスナイデルレノファの取り組み、見ていて非常におもしろいです。

 

 

私は以前↓

 

 

 

nandemoiijanai.hatenablog.com

 

 

 

この記事で、エスナイデルレノファは「勝つか負けるか」で評価するのではなく、「おもしろいかおもしろくないか」で評価すべきでは?と書きました。

 

今もその考えの大枠に変化はありませんが、何と言うんでしょうか、「おもしろいかおもしろくないか」の中身(評価基準?)が変わってきまして。

 

 

エスナイデル、運用が見応えあっておもしろいんですよね。

 

 

就任前はもっと大味になると思っていました。

 

狂気にまみれたハイライン・ハイプレスとかで大炎上してレノファを焼き尽くすものかと。

 

派手に燃える様を見て笑う、そんな方向になるのだとイメージしてました。

 

 

-が、なんか違う。

 

 

就任後初戦の甲府戦では 0-4 で派手に散りましたが、その後6試合無失点を成し遂げたり、良い意味で予想も期待も裏切らました。

 

 

 

 

名塚監督・石原GMの退任に当たって、小山会長は

 

 

チームは新たな体制を構築し、少しでも多くの勝利、1つでも上の順位を目指して戦ってまいります。

 

 

と、コメントし、エスナイデルの監督就任に際して渡部社長は

 

 

今の選手とレノファの実績を理解したうえで、勝つためのアプローチができること、コンパクトな守備の構築と複数得点の期待ができるという点で選定いたしました。

 

 

と、コメントし、そしてエスナイデル自身も

 

 

来た初日と私の考えは同じです。勝つというのが私の作業です。(第22節栃木戦前)

 

私はいつも勝ちたいです。(第22節栃木戦後)

 

 

クラブ(フロント)とチーム(現場)のトップが「勝ちたい」で同じ方向を向くようになりました。

 

 

これ、プロサッカークラブの一般的には当たり前のことなのかもしれませんが、レノファでは異例のことだと思ってます。

 

「また応援したくなるような」「観ていてワクワクするような」でチームを作って果ては「成長するために試合をやってますので」と現場のトップたる監督が言い出してしまう組織でしたから。

 

 

-クラブもチームも「勝ちたい」で目線が揃う。

 

 

「勝ちたい」を実現したい組織の試行錯誤、そりゃ、おもしろいです。

 

なぜならシンプルだから。

 

今までは「トップ6」という目標はありましたが、先ほども書いたように「成長するために試合をやってますので」と監督が言い出したり、ホント、結局何がしたいのか、そして、何を見ればいいのか、分からなかったんですよね。

 

それが「勝ちたい」という非常にシンプルな観戦軸になった。

 

 

-「勝ちたい」からレノファは何をしたのかーーー。

 

 

これでレノファを追えるようになったのは本当にポジティブな変革だなぁ、と感じます。

 

 

 

 

冒頭で述べましたが、エスナイデルレノファへの「おもしろいかおもしろくないか」という評価の中身(評価基準?)が変わって来たのは、こういったレノファの変革(背景)と、「勝ちたい」エスナイデルの運用を見たからです。

 

大味で派手に燃え盛る様が「おもしろいかおもしろくないか」で見ようと思っていたのですが(だから「考えるな、踊れ!」でした)、「勝ちたい」レノファの取り組みが「おもしろいかおもしろくないか」に変わったということです。

 

 

こうなってくると、その方針、そしてなによりエスナイデルが現在やっている運用、どれも非常に私好み。

 

これはここまでのレノファの取り組みや狙いを一度私なりにまとめておきたいな、と。

 

現状派手な戦果が出ているとは言えず「結局エスナイデルレノファは強いのか弱いのかよぅ分からん」状態だと思ますが、取り組んでいることや狙いを推測してみるに味があって大変おもしろいです。

 

 

-噛めば噛むほど味がするーーー。

 

 

今回はそんなエスナイデルレノファの現場戦略を、エスナイデルの今までのコメントから推測していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、本題に入ります。

 

 

「結局エスナイデルレノファは強いのか」あるいは「エスナイデルレノファは勝てるのか」ですが。

 

 

-”まだ”分からん、です。

 

 

もう少し掘り下げて言うと

 

 

-その評価を下せる「段階」に来てない、です。

 

 

 

 

エスナイデル、基本的に「勝ちたい」監督です。

 

かつ

 

 

まずは選手はリカバリーをする。そして次の試合しか考えません。それ以外のことは考えません。(第21節仙台戦後)

 

 

とあるように、「一戦必勝」型の監督でもあります。

 

Jリーグプロ野球と違って試合数少ないですから、他のほとんどの監督もこのタイプ(スタイル)ではありますが、目の前の試合を取りに行く監督です。

 

 

そんな目の前の試合を取りに行く、「勝ちたい」エスナイデルが勝つために施したい戦術が

 

 

我々がやりたいことは結果を待つのではなく、結果を取りに行くということです。

 

相手陣内でボールを奪い、プレッシャーを掛け、結果を掴み取りに行くことが我々のやりたいことで、プレッシャーを掛けたことのご褒美ではないですが、たくさんゴールを決められればと思います。

 

長い時間、相手陣地でプレーする。(第21節仙台戦前)

 

 

私は攻撃のほうを重要視していると思われているかもしれませんが、攻撃と守備のどちらかということではなく、高い位置でボールを奪いたいということがあります。(第23節藤枝戦後)

 

 

攻撃の選手から必ずディフェンスに行き、ゴールから遠ざけたところでプレーをさせています。(第26節いわき戦前)

 

 

エスナイデルの戦術の発端(起点)がどこからなのかは人によって意見が分かれるかもですが、私は攻守の観点から「ボールを自ゴールから遠ざけたい」が戦術の出発点なのではないかと思ってます。

 

ボールが相手陣地深くにあれば失点のリスクは少ないですし、その相手陣地の高い(深い)位置でボールを奪えれば得点のチャンスは増えます。

 

なので、大雑把には「高い(深い)位置でボールを奪いたい」なのですが、ここが出発点では無く、その一個前くらいに攻守の観点から「ボールを自ゴールから遠ざけたい」があるのではないかな、と。

 

 

そして、「ボールを自ゴールから遠ざけて、高い(深い)位置でボールを奪いたい」エスナイデルが選手たちに求めているのが

 

 

いつも選手に言っていますが、ハードワークは必ず報われます。(第24節山形戦後)

 

 

毎試合毎試合、ハードワークは絶対に必要だと言われています。(第23節藤枝戦後・矢島)

 

 

そう、「ハードワーク」です。

 

そして付随して「リカバリー」。

 

 

エスナイデル就任後、レノファは自主練禁止になったそうですが

 

 

練習で十分な時間を確保できていますので、その後の練習は必要ないと思っています。全体練習以外に必要な練習があると思うなら、私から伝えます。チーム練習のあとで疲れている状態で練習してもリスクは大きく、得るものは少ないと思います。(第21節仙台戦前)

 

 

ケガに関しては仕方がない部分もありますが、疲れに関しては心配していません。そのための1週間のトレーニングです。(第25節いわき戦前)

 

 

 

 

エスナイデルの戦術の上位概念は「ボールを自ゴールから遠ざけて、高い(深い)位置でボールを奪いたい」だと思います。

 

その為の中位概念は成し遂げるための「ハードワーク」。

 

そして「ハードワーク」の為の「リカバリー」が下位概念。

 

 

あえて格付けするならこの順番かな、と思いますが、実際には上位下位というより人によっては連結で捉えた方がいいかもです。

 

私は同列(連結)にするとごっちゃになるので上位下位の方が整理出来ます。

 

 

 

 

ここまでエスナイデルの戦術をコメントから推測して来ましたが、ここからが肝心の戦略です。

 

前回記事にしましたが↓

 

 

 

nandemoiijanai.hatenablog.com

 

 

 

戦術は戦略の下位概念です。

 

戦略あっての戦術、ってことでエスナイデルの戦略を推測してみたいと思ます。

 

とはいえ、これ、戦略自体はそんなに複雑ではないんじゃないかとみてまして。

 

 

・「勝ちたい」 → 上位概念

 

・「勝てないなら負けない」 → 中位概念

 

・「負け濃厚ならテスト(試験)」 → 下位概念

 

 

このくらいだと思います。

 

前回の記事で、サッカーにおいての戦略は「リーグで勝つための工夫」としました。

 

なのでこの分け方はピンと来ないかもですが、前回の記事で言う戦略はクラブ単位で見た時の話でして。

 

今回推測しているのは”現場戦略”。

 

クラブの「勝ちたい」を叶えるためにエスナイデルという指揮官がどういう戦略を用いるか、っていう視点ですので、意味合いとしては”采配基準”と捉えていただくのが良いかな、と。

 

 

基本的には「勝ちたい」で采配を振るうので「ボールを自ゴールから遠ざけて、高い(深い)位置でボールを奪いたい」し、その為に「ハードワーク」し、その為に「リカバリー」を、っとなる。こんなイメージです。

 

 

クラブもチームも「勝ちたい」が上位に来る非常にシンプルな方針になりましたので、おそらくチームの指揮官が立ててる戦略もこれくらいシンプルだとは思うんですよ。

 

が、シンプルなんですが、結構難しかったりします。

 

エスナイデル、戦略と戦術の相互関係がポンポン目まぐるしく変わるんですよね。

 

 

私はいつも勝ちたいです。
勝てないのであれば、もちろん負けない方が良いです。
試合の中では必ず自分たちが良い時間帯、相手が良い時間帯があります。自分たちが良い時間帯に上手く決めていれば良かったですが、相手にもチャンスはありました。私だけでなく、選手も勝ちたいと思っていますが、できないときもあります。そうであれば失点しないということも重要だと思います。(第22節栃木戦後)

 

 

選手は調子が良い時も悪い時もあります。今日は調子が悪かったですが、それは仕方がないです。(第26節いわき戦後)

 

 

基本的には「勝ちたい」で采配を振るうので「ボールを自ゴールから遠ざけて、高い(深い)位置でボールを奪いたい」し、その為に「ハードワーク」し、その為に「リカバリー」を、なんですが。

 

どれか一つでも欠けたりして「なんかムリポ・・・」と感じたら「勝ちたい」から「負けない」にシフトして来るんですよ。

 

ついこの間まで理想に散ってたチームが柔軟に試合状況を見て”采配基準”を変えて来るようになったので驚いたものです。

 

驚いたというより頭が追いつかなかった。

 

エスナイデルの「なんかムリポ・・・」の基準が私にはまだ分からないのですが、エスナイデルレノファは戦術が戦略にガンガン干渉するようなので、良く言えば”柔軟”で悪く言えば”分かりにくい”んですよね。

 

ただ、その”分かりにくい”こそが

 

 

-噛めば噛むほど味がするーーー。

 

 

の正体だと思っているので、冒頭述べたように、見ていて非常におもしろい、のです。

 

 

ちなみに、エスナイデルレノファは戦術が戦略にガンガン干渉して来る、と書きましたが、この流れで戦略が変わると、これまた戦術が変わって来たりします。

 

 

後ろにブロックを敷いた状況は理想ではないですが、相手の出方によってはそれをしないといけないということもあります。(第26節いわき戦前)

 

 

このコメントに限らず「○○やりたいけど出来ない時もある(出来る時もあれば、出来ない時もある)」「そういう時はこう」みたいなコメント、エスナイデル多いです。

 

状況を見ずに「出来るようになりたい」「出来るようにならなければならない」で散った指揮官とも呼びたくないような監督を見続けてましたから、エスナイデルの目まぐしく変わる”分かりにくい””采配基準”心から大歓迎なんですよね。

 

 

”分かりにくい””采配基準”を更に分かりにくくしている要因もありまして。

 

それが、最後に書いた「負け濃厚なら試験(テスト)」の概念もあること。

 

これはエスナイデルが明言したわけではないですが

 

 

私もクラブに順応しなければいけないと思っています。全てをすぐに変えるというのは難しいと思っています。そういう意味では時間を掛けながら、今あるものでいかにパフォーマンスを最大限まで引き出すか。それが課題です。(第23節藤枝戦前)

 

 

このコメントは食事面での質問への返答で出したものではありますが、直近の千葉戦を見るに「今あるものでいかにパフォーマンスを最大限まで引き出すか」の考えは采配にも出てると思ってます。

 

「勝ちたい」からそれが実現出来得る見込みの高い選手を探しているんじゃないかな、と。

 

 

試合よりも良い練習というのはないと思っています。(第24節山形戦前)

 

 

とコメントした監督です。

 

名塚監督は「練習でコンディションの良かった選手を選ぶ」方針でしたし「トレーニンからしっかりやっていくしかない」と言ってまして、出場に関して練習が選考の大きな役割を果たしていましたが、エスナイデルは「取り敢えず出してみる」「出してみてジャッジする」采配を持ってそうなんですよね。

 

千葉戦が本当に分かりやすかったですが、ウイングのスタメンが松橋・小林、ベンチに初めてだったり久しぶりに座った選手が多かったです。

 

連続無失点が続いてた時は大幅な変更(試験)はしてなかったですが、前節秋田戦に敗れたのが逆に吹っ切れる良いキッカケになったんでしょうか。

 

内容を見ると良いとこほぼ無かったですしね。

 

 

まぁ、真実は分かりませんが、実際千葉戦では敗れはしたものの多くの選手を試験出来ました。

 

惜しむらくは神垣の退場。

 

次節神垣が出場出来ない、ってのも痛いんですが、11人で試験できなかった、ってのが本当に悔やまれます。

 

極論レノファにとっては収穫を得にくい無駄な時間になってしまったのが、ホントに・・・。

 

 

ただ、あらゆる面で望んだ結果にはなりませんでしたが、やるべきことはやり切ったのでその点では救いがありましたけどもね。

 

 

 

 

 

 

 

 

エスナイデルは「勝ちたい」で采配を振るいます。

 

「ボールを自ゴールから遠ざけて、高い(深い)位置でボールを奪いたい」その為に「ハードワーク」し、その為に「リカバリー」。

 

これが勝つためにやりたいこと。

 

が、「勝ちたい」を実現出来ないエスナイデルが感じる「なんかムリポ・・・」があれば「勝ちたい」から「勝てないなら負けない」にシフトしますし、その戦略変更に合わせて戦術も変わる。

 

更に「負け濃厚ならテスト(試験)」まで実施して来る。

 

加えて、直近の千葉戦を見るに、試合頭から(スタメンに松橋・小林)テストを開始し始めてます。

 

 

なので「エスナイデルレノファは強いのか」あるいは「エスナイデルレノファは勝てるか」は「”まだ”分からん」ですし、「その評価を下せる”段階”に来てない」のです。

 

 

改めてテスト(試験)が始まった段階ですからね。

 

新加入の選手たちをテストする時期でもあると思ますし、時期としてはちょうど良かったんじゃないでしょうか。

 

ただ、エスナイデル就任以降に獲得したジュニオール、キムに関してはほぼ内定出てるとは思います。(平瀬は分かりかねてます。MD、生駒がダメだった時に国本、上本では足りていない、という判断だったのか?)

 

レノファの強化部がエスナイデル就任以降に獲得してるわけですから即戦力見込みでしょう。

 

石原GMが編成した「過去最高メンバー」とエスナイデル就任以降に獲得された即戦力見込みの選手たちで、テスト(試験)。

 

このテスト(試験)、「勝ちたい」からやるんです。

 

すぐさま結果が出るのが望ましいですが、まぁ、そんなすぐには変わらないでしょう。

 

結果にしても内容にしても変わるのに時間が掛かると思いますが、そもそもポジティブなキッカケで始まってるテスト(試験)ですので、気長に見守りたいところです。

 

「勝ちたい」会長と社長、そしてその二人が選んだ強化部長、エスナイデル。

 

クラブもチームも変わりました。

 

後は選手たち、です。

 

中々にタフな取り組みになると思いますが、変革の波に上手く乗って行って欲しいですし、チャレンジには応援を送りたいです。

 

 

レノファが変わる姿勢を見せれば選手も変わる。

 

選手が変わればレノファも変わる。

 

 

ポジティブな変革と相乗効果が訪れると良いですね。

 

そう言う意味でもテスト(試験)、大事です。

 

チーム一丸で乗り越えてほしいです。

 

 

その段階を超えた先に「エスナイデルレノファは強いのか」あるいは「エスナイデルレノファは勝てるのか」の答えがあると思います。

 

レノファ、がんばれ、です。

 

 

 

 

 

 

 

 

と、ここまでが私の推測したエスナイデルの現場戦略でした。

 

色々あって今は試験期間中では?というのが現状の見立てです。

 

今は試験中だから!っていうのは負けた時の慰め用の考え方ではなく、「勝ちたい」からやってることとして認識してます。

 

そんなわけで、気長に試験期間中のレノファを見守りたいと思ってます。

 

試験終わった?なタイミング感じ取れれば結果などをまた書きたいです。

 

 

次回はそんな試験期間中のレノファだからこそ思う、「オレたちの10番」こと池上丈二について私見を述べたいと思ってます。

 

見かけたらその時はよろしくお願いします。

 

それでは、また。