「オレたちの10番」でおなじみの池上丈二、今年、プロサッカー選手として仕上がってると感じてます。
今シーズン、ブログやツイートで度々そう主張してますが、個人的に飛躍してほしい選手の一人です。
シーズン前には今年のキープレイヤーの一人になってほしいと願った選手。
元々
・キック精度の高さ
・ミドルシュート持ち
・相手のCBとSBの間を走る巧さ、強さ
・「チームメイトの取扱説明書」を持っている
というところが池上の武器だと認識してました。
キック精度やミドルは見事なものですし、前線へのランニングのタイミング、そして強さ、チームメイトの特徴を把握したパス、足元に欲しい選手には足元へ、スペースに欲しい選手にはスペースへ、池上から逆サイドで走り出してる高井さんへのパスなんて、見ていて心躍る最高の光景でした。(今年で言えば同サイドですが野寄へのパス)
そういった武器に加えて、一昨年くらいから「プレス」の局面でも強みが出始めたとみてまして、去年の山形戦(第18節だったはずです)、敗れはしましたが何度も何度も山形のCBに対して果敢にアタックして外に出させ、石川や島屋がサイド守備頑張って中央に出させ、神垣で仕留める、当時から高い位置でボールを奪いたいレノファのファーストディフェンスを高いレベルでこなしていました。
その後ガス欠の池上に代わって謙介に同じ役割をさせて守備の目論見が崩壊したのを今思い出してイr・・・モヤっとした感情までも湧いてしまった・・・。
まぁ、それは置いといて。
「プレス」の局面に強みが出始めていた池上、今年は「ビルドアップ」の局面でも強みが出始めていたんですよね。
名塚体制の頃の何節かは忘れてしまいましたが、IHで起用された池上が、ビルドアップ時、アンカーの矢島がディフェンスラインに降りて「矢島ワンダーランド」を展開した際、相手のFWとMFの間で見事なポジショニングを取ってボールを捌いてました。
これには本当に驚きました。
今まで「フィニッシュ」と「プレス」に強みがある選手だと思っていたのに「ビルドアップ」にも強みが出始めたわけですから。
-池上、年々出来ることが増えている。
「フィニッシュ」と「プレス」加えて「ビルドアップ」そして今年は「ブロック」も例年以上に頑張ってました。(「ブロック」は詰めが甘く感じる時がありますが、帰陣はとても早くなったと感じてます)
だからこそ、「今年の池上は仕上がっている」と評していたのです。
そんな印象を抱いている池上なんですが。
いまいちパッとして来ないのが現状でして。
これほどの選手が何故?の思いが強く、ずっと謎でした。
そんな時、池上自身のコメントを目にしまして、それが非常に考えさせられるものだったので、今回は「仕上がってる池上」のコメントを見た私の考えや思いを書かせていただきます。
レノファの試合を観ている方々、ファン・サポーターの皆さんにとって、「池上丈二」とはどういうプレーヤーだと認識されているでしょうか?
パサー? 司令塔? でしょうか。
私は
-「池上丈二」は「フィニッシャー」
だと認識してます。
これ、意見が割れると思います。
そもそも
・キック精度の高さ
・ミドルシュート持ち
・相手のCBとSBの間を走る巧さ、強さ
・「チームメイトの取扱説明書」を持っている
私が認識している、で恐縮ですが、池上の武器、「どっちとも取れる」んですよね。
パサーや司令塔、フィニッシャー、出し手とも受け手とも取れる武器を池上は持ってまして。
この多彩さこそ、逆に「仕上がってる池上」がパッとしない原因になっているのではないか?と私は思うのです。
-個人でのそういう目標設定はないですが、本当にピッチに出たらチームを助けられるプレーをし続けるだけだと常に思っています。そこが目標です。
-前節出た時は左サイドで、攻撃面は自由にやってくれと言われています。本当に自分のプレーを出し、最高のパフォーマンスを見せるだけかなと思います。
-相手がどう来るかということはありますが、自分たちのプレッシングであったり、攻撃の狙いであったりをもう一度チームとして確認し、そこを本当に見せることができれば、結果として付いてきて、良い方向に進めると思います。まずは本当に自分たちにベクトルを向けて、そこで勝って勢いに乗っていきたいです。(第28節千葉戦前)
これらが私が考えさせられた池上のコメント。
「チームを助けられるプレーをし続ける」。
池上、「チームプレーヤー」になってるみたいで。
もちろん、それが悪いわけではありません。
サッカーはチームスポーツですからチームプレーが当たり前で「チームの為に」がないと組織が崩壊します。
年々出来ることが増えてきている池上が現在辿り着いてるスタイルなわけで、その考えは当然尊重しています。
が、今年の池上のプレーを見るに「チームの為に」という考え、結構罠の要素も孕んでると思いまして。
例えばですが、サッカーの話題で野球を例えにするのもアレなんですけども、バッターがチームの為に出来る最高の貢献は何だと思いますか?
ホームラン、です。
進塁打や四球、バントこそがチームプレーと思われがちですが、普通に考えてアウトを献上することなく一打で一得点以上を取れるホームランこそ、最高のチームプレーなのではないでしょうか。
チームスポーツを観戦する際、観る側は選手が「チームの為に」で己を「犠牲」にする姿を好みます。
「犠牲」 = 「チームプレー」 という構図が何となく出来ちゃってると感じてます。
「本当は打ちたいけどまずは塁に出ないといけないから我慢」
「球数稼がないといけないから初球を振ってはいけない」
こういうのって、本当に「チームプレー」なんでしょうか?
バッターにとってチームへの最高の貢献はホームラン。
「チームの為に打てないなりに四球を」
「チームの為に打てないなりにランナーを進めよう」
これは本当の意味での「チームの為に」や「チームプレー」ではなく、「チームの為に」を思うなら「打てるようになろう」が正解だと思うのです。
「犠牲」を前提にしている消極的な「チームの為に」は「縛り」なのではないか、と。
プロスポーツ選手はキャリアの中で「自分は何者であるか?」の定義をしなければならないと思っています。
キャリアの中で自身がプロとして「出来ること」と「出来ないこと」の自問自答、そして割り切りの果てに「自分は何者であるか?」の答えが見つかる。
その作業を進めていく中で、チームスポーツ競技者なら「チームの為に」が前提になって来ると思いますが、その際、「犠牲」が前置きになってる消極的な「チームの為に」は「縛り」になってパフォーマンスの低下を招くのでは?と思うのです。
そもそも、「チームプレー」は何のためにするのか?ですが。
-チームが勝つため
なのではないでしょうか。
チームを勝たせる活躍をする事こそ本当の「チームプレー」だと思います。
「犠牲」を前提にした消極的な「チームの為に」で行われる「チームプレー」。
それは「チームプレー」の為の「チームプレー」になってしまっているのではないか?と。
「チームプレー」の為の「チームプレー」は消極的でパフォーマンスの低下を招くから、結果、チームの出力を下げて、逆に「チームの為に」ならない。
こう、私は思うのです。
だからこそ、池上・・・なんですよね。
池上のスタンス、間違ってるとは決して思いません。
ただ、それでいいのか・・・、というか、もっと高く跳んでほしい、と思ってしまうのです。
池上の武器、そして年々出来ることが増えていってるプロ選手としての取り組みと姿勢。
私、池上は”怖い選手”になれると信じてまして。
今だと”良い選手”止まりが限界とみてます。
強烈なミドルを持っていて、ランニングの質も高い、これほど優れたIHらしいIHはそうそういないと思ってるんですが。
技量、「チームに貢献したい」というメンタル、仕上がってるからこそ、後は「気の持ちよう」だけだとみてまして。
どうか自分を低く見積もらないでほしいです。
消極的な「チームの為に」は自身を「縛る」。
高く跳べるんですよ。池上は。
池上にとっての「チームプレー」は「チームを勝たせる活躍をすること」と言えるだけのポテンシャル、高く跳ぶチャレンジをする資格、既に全部持ってる選手です。
28歳という選手としてピークを迎えてる時期です。
「個人目標は無い」「チームを助けられるプレーを」なんてそんな35歳のベテラン選手が言うようなこと、池上にはまだ全然早いですよ。
前回↓
この記事で「現在エスナイデルレノファは試験中では?」と書きましたが、だからこそ、文句なしで合格してほしいのです。
-私にとっても手助けになりますし、選手を選ぶ基準もはっきりします。素晴らしい選手だと思います。(第22節栃木戦前)
エスナイデルは前ちゃんをこう評してます。
受け取り方を間違えてなければ、ですが、エスナイデルがスタメンを選ぶ際、前ちゃんがファーストチョイスになってると思われます。
前ちゃんを軸に、他が決まっていく。
このレベルに行ってほしいのです。池上に。
名塚体制でもエスナイデル体制でも課題は「得点力」です。
現在22得点でリーグ最下位。
池上が「チームの為に」を思うなら、分かりやすく「点を取ってレノファを勝たせる」が最高の「チームプレー」であり貢献。
エスナイデル試験実施中に、今一度「自分は何者であるか?」見直して、文句なしの合格を得られている姿を期待させていただきたいです。
以上、「チームの為に」というのは繊細なテーマだとは思いますが、私見を書かせていただきました。
ホント、池上は「気の持ちよう」だけ、と思えるのでなんとも歯がゆいんですよね。
「自分は何者であるか?」を整理すると迷いが無くなるのでメンタルが前向きになって戦いやすくなると思ってまして。
この整理、池上と高井さんが苦手にしてるように思ってました。
高井さんの場合は「何でも出来ちゃうから何でもする」で、あれだけのポテンシャルを持ちながら”怖さ”が無かった。
シーズンで二桁得点を記録したことのある選手に”怖さが無かった”っていうのも違和感あるかもですが、整理できてなかったんで「今日の高井さんは~」と日によって人が変わっちゃってたんですよね。
この辺、逆に得意(?)にしてたのが菊池。
菊池のnoteを見れば分かりますが、気持ちの整理、上手い、とは思いませんが、強い、たくましい、です。
自らを「サッカーが下手くそ」と評しながらも、「じゃあ、どうするか」の向き合い方が苛烈で奮起してるんですよね。
「自分は何者であるか?」に強烈に答えを出して来るので、技量としては足りてないかもですが、戦えます。
技量足らずでもメンタルでその不足をカバー出来てしまう。
菊池の強さは「迷いの無さ」。
迷いが無く、その圧倒的なフィジカルでもって戦って来るから当時イケイケだった三苫を完封したりしてました。
世界最高峰のプレミアリーグで並みいる猛者が苦戦してる三苫を、完封。
まぁ、当時と今とで一概に比較できませんが。
それくらい、「気の持ちよう」大事です。
菊池は不器用さが逆にメンタルに良い影響を与えられるキッカケになった感がありますが、池上は真逆でして。
多彩、なんですよね。
器用貧乏、ではないんですよ。
どれも立派な武器だし振るえるけど、戦い方を決めかねてる、そんな感じ。
レノファは得点に関して池上に助けてほしいので、池上が上手く気持ちに整理が付けられるか、見守りたいです。
エスナイデルなら上手く導くんじゃないかなぁ、なんて思ってますが、どうなるでしょうかね。
名塚監督の「練習で良かった選手を使う」選手起用は、信頼の意味で選手にとって良くなかったと思ってます。
選考基準があいまいで分からないので、チームが動揺しちゃうんですよ。
もし外されたら「次は俺か?」でプレーに集中できない。
その点、本音か建て前かは分かりませんが、「パフォーマンスに満足してる」と選手に信頼を伝えながらも、足りないところがあったらガンガン試験して来るエスナイデルなら、っと思いたくなる。
信頼しても信用せず、な感じ。
信用はされないけど(←チームとしてこの方が良いです)、信頼はされてるので前向きな言葉が出て雰囲気は良くなるんですよね。
-個人的にも良くなると思っています。
チーム全員がそういうように思っていると思いますし、チームとしても今はすごく良い状態だと思います。雰囲気もとても良いです。(第24節山形戦前・高橋)
-監督からもポジティブな言葉が掛かっています。選手同士でもモチベーションを上げていますが、監督から引き上げてもらっている部分もあると思います。(第24節山形戦後・沼田)
繰り返しになりますが、エスナイデル、信頼はしてくれるので、このポジティブな雰囲気に乗って、上手く気持ちを整理して、池上が特に、ではありますが他の選手も「自分は何者であるか?」の答え、そして本当の意味での「チームプレー」を見せてくれればな、と。
改めて、レノファ、がんばれ、です。