昨シーズン36試合に出場し、5ゴールを記録したパウロですが、今シーズンは出番がほとんどありません。
というかベンチにも入れていない状況です。
J2再開前には、今シーズン35試合以上の出場で晴れてJ1へーっと個人昇格を予想していたんですがね。
なので、てっきり昨年の横浜FCのような「選手がバテ始める夏から本格始動や要員」的なマネジメントなのかと思っていましたが、ここまでベンチにすら入れないとなると、どうやら違うのかなと。
今回はパウロがレノファで起用されなくなった理由の個人的見解を書いてみたいと思います。
パウロが今シーズン起用されなくなった理由ですが、
①監督に嫌われた
②戦術、戦略的事情
の2つが考えられます。
まず、①の「監督に嫌われた」ですが、これは無いかなと。
霜田監督のポリシー的に「現役選手がYouTuberやってんじゃねぇ」のような理由で選手を嫌うことはないかなと。
「選手を育てたい」欲、その情熱を持って監督キャリアをスタートさせた方です。
余程のこと、選手が犯罪を犯すレベルとかでないと切り捨てることはないかなと。
(選手が自身の理想のサッカーを体現出来なくても我慢して起用してくれる監督です)
なので、パウロが霜田監督に嫌われた、反感を買ったから出番が減ったというのは考えにくいです。
だから②「戦術、戦略的事情」が濃厚かなと。
個人的にはこれだなと思ってます。
今シーズン出番を減らしている選手はパウロだけではありません。
森も出番を減らしつつあります。
今シーズン6試合に出場し、内、3試合先発、3試合途中出場となっています。
開幕戦や、リーグ再開後は先発出場してましたが、最近はベンチ、ベンチ外と、徐々に出番を失いつつあります。
この2人に共通しているのは、どちらも
「ワイドレーンを主戦場にしているサイドハーフ(ウイング)」
ということです。
ちなみに、同じ理由でワイドレーンを主戦場にしているアタッカーの村田も出番がほとんどありません。
レノファの昨年から続く攻撃面の問題は、
「ワイドレーンの選手とハーフスペースの選手の距離が近すぎる」
というものでした。
今シーズン序盤で言うと
高井、安在、イウリ、池上、森
で5レーンを取っていたわけですが。
高井、安在の(どう見ても逆、高井がワイドにいてどうするっていうそもそもおかしい)左のペア。
池上、森の右のペア。
この2ペアそれぞれの距離が近すぎて、中央レーンにいるイウリが孤立してたんですよね。
頑張ってワイドレーン攻略してもクロスを上げるときに中にイウリしかいないって状況でした。
なので、序盤は個人のアイデアや強さでしか得点出来ないという現象に陥ってました。
ここから少し経って、小松がスタメンに入り、イウリと2トップを組むようになって状況がほんのわずかだけ改善されました。
高井、安在、イウリ、小松、森
で5レーンを取れるようになり、小松はイウリが空けがちな中央レーンに入ってくれるなどかなり前線を助けてくれました。
(他にも一人で左右のハーフスペースを埋めようと走り倒してました。すごかったです)
とは言え、高井、安在のペアは相変わらず近いし、配置が逆。
森はワイドレーンで池上のサポートがなくなり、単騎でワイドレーンを攻略しなければならなくなりました。
そこで一人でクロスなりに持っていくクオリティーを示すことが出来ればまた違ったんですがね。
そうもいかず。
(ドリブル失敗、クロス失敗、と精細を欠きました)
結局中央レーンと左右どちらかのハーフスペースは使えるが他が死んでるという状況になってしまいました。
ですが、ここからさらに直近、先日の甲府戦で昨シーズンから続くレノファの攻撃面の問題が解決しました。
基本フォーメーションは4-4-2(4-2-3-1)で、左に浮田、右に吉濱を配置することで何故か本当に急にスパッと答えが出ちゃったんですよね。
元々、右サイドは吉濱、川井を配置し、
吉濱は攻撃時ハーフスペースに入り、やや降りる。
川井は吉濱が空けたワイドレーンを上がる。
小松が吉濱がやや降りて空けたハーフスペースに入る。
と、このように動いていたので右サイドの攻撃はしっかり機能していました。
後は左サイドだけ、という状況にはなっていたわけです。
その状況で、左ワイドから攻撃時左ハーフスペースに侵入でき、ディフェンスラインと駆け引き、飛び出しが出来る浮田が登場したわけです。
これで「レノファ式5レーン」が完成しました。
まー、長々経緯を書きましたが、昨年から
「サイドハーフ、ウイングの選手がワイドレーンを使う」
という形はレノファでは有用ではなかったってことです。
現状の最適は
「サイドハーフ、ウイングの選手がサイドバックにワイドレーンを提供する」
という形だということです。
以上の理由からパウロ、森、村田は出番が減ったのかなと思います。
現状レノファのサイドの選手に求められるのは「ハーフスペースに入れるか」「中央レーンの選手に近づけるか」です。
甲府戦で解説の人が「レノファは距離感がいいですね」と言ってましたが、ハーフスペースの選手が中央レーンの選手に近いと攻守に有用なんですよね。
攻撃においては分厚く攻められる。
守備においてはロスト時素早く多人数でプレスを掛けられる。
これが霜田監督が目指した「僕らのやりたいサッカー」で「攻撃はポジショナルプレー、守備はストーミング」ってことなのかなと。
では、パウロたちのような「ワイドレーンを主戦場にしているサイドハーフ」は今後どうするか、です。
・彼らのようなタイプの選手をワイドにおいた際の5レーンの準備
・いっそプレーモデルを変えてしまう。
といった事が考えられますかね。
要は左ワイド、左ハーフスペース、中央レーンに安在、浮田、小松のような甲府戦で取ったそれぞれのレーンに選手を配置することで、右ワイドパウロが生かせるわけです。
右サイドパウロは吉濱と違い、ワイドでボールを受けてからハーフスペース、中央レーンに向かってドリブルを開始します。
その際、ドリブルで空けた右ワイドに川井が上がる。
ドリブルの位置を見て中央レーンの小松が右ハーフスペースに相手ゴールに向かって斜めに走る。
浮田は左ハーフスペースで飛び出しを狙ったり、中央レーンに向かっていく。
安在は左ワイド、あるいはワイドに近いハーフスペースで待機させる。
この交通整理が出来れば、パウロはカットインからのシュートも得意ですし、クロスも得意なので最低でも5つの選択肢を与える事が出来ます。
個人的にはパウロを右サイドで起用するなら、左サイドは池上を起用し、吉濱が右サイドで行っていた働きを左サイドで再現してもらって、右サイドのパウロにアタッキングパスを出してもらうという形が良いかなと思いますが。
そうなれば安在、小松、イウリ、の左と中央、右は川井で一応選択肢は多く与えられるので。
森に関しては、甲府戦で出場した際、高井とポジションチェンジを繰り返し、その際結構左ハーフスペースに入れてたんですよね。
可能性として、右ワイド森でなく左ハーフスペース森もあり得そうと感じました。
浮田お疲れ交代の際に、ぜひ左サイドで起用してみて欲しいと思いました。
浮田と森は特徴が違い、同じ動きをさせてもまた違った結果が出そうなので面白そうなんですがね。
いっそプレーモデルを変えてしまうのも面白かもしれませんね。
この5レーンは中々にファイヤーですが夢はあります。
(ほれ、スペインではマルセロとかいうやべぇのが左サイドバッグやってるじゃろ)
他には、ワイドからのドリブルを止め、ハーフスペースに入ってからのプレーを見つけることで、新たなパウロを産み出すというのも妄想したいところ。
いずれにしろ。
パウロ、森(村田)の同時起用は難しいかなと。
ジュビロ戦のような5レーンもなく、ただ単騎特攻を繰り返すだけになってしまいますからね。
右パウロ、左森はあり得なくもなさそうですが、左パウロ、右森(村田)は今までを考えても通用しないでしょう。
ただ、パウロ、森、村田はその特徴を考えても甲府戦メンバーとはまた違った色をチームにもたらしてくれます。
この「ワイドレーンを主戦場にしているサイドハーフ」の選手たちを生かせる仕組みが出来たとき、さらにレノファは進化します。
これから5連戦が始まります。
まずは浮田の代わりが出来そうな選手を発掘することや、「レノファ式5レーン」の熟成が最優先です。
が、「レノファ式5レーン」の成熟とパウロたちを生かす「新・レノファ式5レーンα」の製作も狙って欲しいと思ってます。
二兎追うものは一兎も得ずですが、二兎追わなきゃ二兎得られませんし、上位に行けないのです。
みんながんばれ、です。