レノファでゴールキーパー登録されてる選手は、
林、吉満、山田
の3人です。
この内現在J2第9節までで
林 0試合出場
吉満 5試合出場
山田 4試合出場
の出場となっており、吉満は開幕から第5節まで先発。その後6節から現在第9節まで山田が先発してます。
形としては昨年開幕戦スタメンだった山田(吉満のケガもありましたが)が(復帰した)吉満とのレギュラー争いに敗れ、今年またレギュラーを取り返しつつある。
といった感じでしょうか。
この2人、長所短所がハッキリしてますので、どちらが先発してるかでレノファの現状が計れるという点でとても面白いわけです。
先に書いてしまうと、ゴールキーパーとしての「個の強さ」は吉満に軍配が上がると感じています。
まず、ゴールキーパーの本懐である「シュートストップ」について。
シュートストップに関してですが、どちらもDAZNが選ぶ「週間ベストセーブ」に選ばれるくらい上手いです。
ただ、シュートに対するアプローチが若干異なり、
吉満はキャッチング
山田はパンチング
を武器にしています。
どちらも一長一短がある武器ではありますので何とも言えないですが、好みとしては吉満のキャッチングですかね。
山田のド派手というか華のあるセーブも好きなんですが。
キャッチングは成功すれば自チームの攻撃に繋げられ、かつ相手の攻撃を終わらせることが出来ます。
パンチングは成功率は高いと思いますが、相手の攻撃を確実に終わらせることが出来ないので。
そういった意味で個人的には吉満ですね。
続いて現代サッカーでゴールキーパーに求められる「ビルドアップ力」について。
これはすぐに分かります。
昨年山田が吉満にレギュラーを奪われた要因ですね。
山田は昨年の主に甲府戦でその弱点が完全に露見してしまいました。
メンタルぶっ壊れるんじゃないかってくらい足元の拙さが原因で失点してしまいました。
我々はピーター・ウタカを許さない……。
ビルドアップ時のバタつきや、サイドの選手へのロングボールがことごとくタッチラインを割ったり、中央の選手へのロングボールも何故か相手選手へドンピシャだったり、まー、散々でした。
その点吉満は足元上手です。
基本左右どちらでも蹴れますし、フワリとしたロングボールや、鋭く早いロングボールを蹴り分けることができます。
「後ろでボール蹴ってもらうとき、吉満と山田どっちがいい?」って聞いて「山田」と答える人はそういないよね?くらいには差があるわけです。
と、ここまで書けば、レノファの正ゴールキーパーは「吉満に決まり」となりそうなんですが、現実はそうなっていないです。
山田の先発起用が増えて来てるわけです。
なぜなんでしょうかね。
「個の力」で勝っている吉満が劣っている山田にレギュラーを奪われかけてます。
「ビルドアップに拘る」とコメントしてる監督が、ビルドアップに期待できないゴールキーパーを先発させてます。
この辺が面白いわけです。
吉満に無くて、山田に有るもの。
それが評価されての「山田先発復帰」なわけで。
個人的に理由は「山田のメンタルの強さ」だと思うんですよね。
うわー、
出たよー、
フワッとしたやつー、
って思いますよね。
まー、しこしこ書いていくんで付き合ってやってください。
まず、チームとして「勝利」を目指す上で
「個の力」
と
「集団の力」
は欠かせないわけで。
どちらがより大切ということではなく、どちらも大切です。
「自分の成績を伸ばしてぇ」と「みんなと勝ちてぇ」が両立してるチームは、まー、強いわけです。
いくら「個」が突出していてもそれが「チームを勝たせる」というベクトルに向いてないと意味ないよねって話ですかね。
この点において山田は吉満に勝ったのかなと。
吉満の「個の力」は割りとJ2でも上位だと思いますが、「集団の力」で勝る山田がレノファでレギュラー取り返しかけてるという構図ですね。
では、山田が持っている「集団の力」とはなんぞやという話です。
それが「メンタル」かなと。
私、山田のメンタルすげぇと感じてます。
昨年先発からベンチメンバーに降格しましたが、下を向きませんでした。
ボロクソに負けようがチームメイトを励ましたり、積極的に外国人選手ともたびたびコミュニケーション取ってました。
昨年夏に移籍した高木大輔に似たプロフェッショナルな姿勢、メンタルを感じます。
その姿勢は今年いつだったか覚えてませんが、アウェーのボールボーイへの対応で、相手選手からのリスペクトに繋がったりしてるわけです。
と、まー、「個の力」では吉満より劣るわけですが、「チームを勝たせてぇ」という情熱で勝ったわけで。
吉満は「個」は強いですが、まだその「個の力」が「チームの勝利」に繋がってません。
その足元の巧みさゆえか、選択肢が多いんですかね。
難しい選択や、チャレンジしすぎて失敗してカウンター喰らうというシーンが多発してしまってます。
第3節愛媛戦の時ですが、ドフリーの状態でドフリーの真鍋にパスを出さず、じっくり持った上で、何故か利き足とは逆の左足でドフリーの安在にロングボール蹴って失敗して相手のスローインになりました。
これ、印象最悪でした。
味方を信頼しない姿勢、その上チャレンジ失敗ですから。
別にチャレンジ自体悪いことではありません。
例えばですが、
クリスティアーノ・ロナウドやメッシが、数的優位で味方にパス出せば確実に1点という状況で、強引にシュート打って外しても許されます。
その姿勢が別のシーンでは決まってチームを助けたり、実際そういう実績があるわけですから。
チームが納得出来るんですよね。
ひるがえって吉満はどうか。
そりゃ、レノファファンからすれば「吉満足元うめぇ」の印象ありますが、失敗してチームが納得するだけの根拠、実績はありますかという話。
一発で相手ディフェンダーの裏を狙うとかのチャレンジならまだ分かりますが、すぐ側にいる味方を信頼せず、何でもないサイドチェンジにチャレンジして失敗してチームはどう感じるか、です。
レノファは勝利から遠ざかってるチームです。
その状況を踏まえて「最善」はそれですか、ということです。
逆に山田は「出来ることを全力でやる」という姿勢のように感じます。
昨年甲府戦の失敗を経てめちゃめちゃ試行錯誤というか工夫を感じます。
ビルドアップ時、人を選ばずすぐに味方にパスを出します。(テンポがいい)
自身の足元の拙さを自覚した上でどうするかにちゃんと向き合っているように見えます。
そして克服もちゃんと目指している。
昨年よりもサイドの選手へのロングボールがタッチラインを割るというシーンは減りました。
自分の出来る出来ないを自覚した上で「チームの勝利の為の最善」を尽くそうとしてくれます。
何節かうろ覚えですが、相手選手との接触で山田がキレました。
山田のメンタルを考えれば、それが味方への鼓舞だと分かります。(イウリのように突然キレません)
山田、チームのために戦ってくれます。
その姿勢がチームメイト、サポーターに伝染して「勝利」のムードを作ってくれます。
山田の後方支援はとても頼もしいです。
そしてそれがしっかり評価されてるのも嬉しいですね。(選手起用の公平性、正しい競争)
まだレノファのサッカーは未完成であり発展途上なわけです。
現段階では「個」の吉満ではなく「集団」の山田が正ゴールキーパーに選ばれてます。
レノファのビルドアップが整理されて、吉満のボール保持時の選択肢がしっかり定まったりしたら分かりませんが、この2人のレギュラー争いは本当に面白いです。
吉満の「集団の力」が伸びるのか
山田の「個の力」が伸びるのか
どちらが先か。
いずれにしろこの2人のレギュラー争いがレノファというチームのレベルを上げてくれるのは間違い無いわけで。
どういう結末に着地するかが楽しみですね。
結構ノスタルジックというかファンタジー的な記事になっちゃいましたかね。
とはいえ個人的にはレノファの正ゴールキーパー争いをこのように見てますよ、という話でした。