【第9節 away ヴァンフォーレ甲府戦】 急に完成した「レノファ式5レーン」

前回

「攻撃したけりゃ5レーンに選手置いとこ。5レーンに。」

的なことを書きました。


試合前の公式ツイートによるスタメン発表を見たとき「左サイド浮田やん。今日も左サイドは浮田と安在の交通渋滞か」って思ってたんですがね。


浮田のポジショニングが完璧でした。


今まで出場した試合全てでワイドレーンに張りまくってた選手が、ハーフスペースに入れるようになってました。


安在、浮田、小松、河野、川井


の5人がしっかり5レーンを使って分厚い攻撃を繰り返してました。


しかも、浮田、小松はかなりの頻度で裏を狙い、空いたスペースを河野が使ったりと、急に前線のオフザボールの動き出しが活発になってました。


これが「僕たちのやりたいサッカー」

「レノファ式5レーン」や!





いやホント、何が起きたんですかね。

少なからず前半は今季ベストゲームと言っていいほどの出来でした。

先制点も美しかったです。




ビックリするくらい急に「僕たちのやりたいサッカー」が完成したので「なんでやっ?」と思ってたんですが、

浮田が興味深いコメントをしてました。




ー裏に跳び出すプレーが多かったと思うが意識していたか

 「裏に飛び出すプレーは今まで大学ではなくて、ここにきて身につけました。オフサイドになってもパスが来なくてもいっぱい走ってやろうと思っていました。」




いや、オフザボールの動きだし仕込めるんかい。

高井は年々悪くなり、イウリは意味不明ムーブを繰り返すので、てっきり指導されてないのかと思ってたら違いました。

飛び出しには言及してますが、ハーフスペースへのポジショニングには言及していないので何故出来たのか分かりませんが、うーん、出来たもんは出来たってことで深く考えないようにしましょうか。





【結果】


1-1




【得点者】


ヴァンフォーレ


67. 泉澤




レノファ


23. 浮田





【良かった点】


・吉濱覚醒す

浮田

・河野初先発

スローイン問題何故か解決




吉濱がなんかえげつない進化を遂げてますね。

攻撃時、右サイドハーフのポジションからハーフスペースに入り、そのまま降りてゲームを作ってくれてます。

吉濱のこの動きに合わせて川井がワイドレーンの高い位置を取ったり、ハーフスペースの吉濱が空けたスペースに河野が入ったりと攻撃のスイッチを入れる存在となってました。

個人的に「吉濱60分限界節」が浮上してたんですが、

交代する87分までしっかりディフェンスも強度高く行ってくれましたし、素晴らしかったです。

「高井、ベンチでこれ見てるか」と言いたくなりましたね。





浮田に関しては出だしで書いていますが。

ハーフスペースへのポジショニング、飛び出し回数、ディフェンス量、どれも素晴らしかったです。

得点シーンも、吉濱からのクロスが入る前に、マーカーの死角に入ってから飛び出すという「これぞストライカー」の動きだしでした。

「レノファ式5レーン」の完成と共に、昨年から続く「山下枠」の狙いが遂に花開きましたかね。


個人的にはボールロストしないところも素晴らしかったと思います。

ヘニキの兄貴やヘナンに迫る圧倒的フィジカルで、相手のサイドバックくらいのプレスにはびくともしませんでした。

高井だと軽いプレスでロストしてしまうので、そこからまたカウンターを喰らうというシーンが多発しましたが、浮田ならそこで一回タメを作れるのは大きいですね。


左サイドで、浮田がずっと高井にやってほしかった動きをやってくれたので、「高井、ベンチでこれ見てるか」と願ってましたが、交代で入った時の動きを見るに高井は高井でした。

ボールロストに関しては浮田と高井は特徴が違うのでなんとも言えないですね。





河野が初先発しました。

ボールの扱いくっそ上手いですね。

吉濱が空けたハーフスペースを使ってくれたり、良い感じだったと思います。

ディフェンス面で色々言われてますが、大丈夫。

小松とサッカーしてれば諸々上手くなりますよ。





スローイン問題も何故か急に解決しましたね。

昔はスローインすれば速攻で狩られ、前節では「後ろに投げて、投げられた選手はすぐ前線に蹴り込む」という地獄のような対策を取ってましたが、今節では普通に狩られなくなりました。

レノファの上達か、甲府の問題か。

分かりません。





【悪かった点】


・課題のセットプレーでの失点

・交代選手がパッとしない




今期もセットプレーでの失点が止まらないレノファ山口

誰がどう見ても課題なのでしっかり対策はしてたんでしょうが、今節もやられてしまいました。

個人的には得点も失点も「運」だと思ってるので、まー、あまり気にならないんですが、そうは言ってもその「運」の要素に出来るだけ左右されたくはないわけで。

相手コーナー時、ドフリーで合わせられたり、

失点時、コーナーキックに対策してるはずなのに安在がコケてたり、

なかなか上手くいかんもんですな。

というか、安在はやっぱり面白いですね。

皮肉ではなく、なんか「がんばれぇ」と応援したくなります。

まー、あんまりシビアに捉えすぎずに、気楽にやってれば抑えられるようになるんじゃないですかね。





今節は前半が別チームか次元の素晴らしいサッカーをやってただけに交代選手がパッとしなかったのは残念でした。

前線の選手は前プレスを積極的に行ったり、ディフェンスにしっかり戻ったりするので、どうしても90分持ちません。

そうなったとき交代で入った選手がどれだけやれるかでレノファのサッカーの質が変わるのですが……無念。


個人的には、前半メンバーの様なサッカーを交代で入った選手たちにやらせるのではなく、交代メンバー用のサッカーを準備すれば解決しそうだと感じるんですがね。

具体的に言うと、「交代メンバー用の5レーン」ですかね。


前半は

安在、浮田、小松、河野、川井

で5レーンを使えてました。


後半交代で入ったメンバーを考えるに

清永、池上、高井、小松、森

で5レーンを使えればそれなりにやれたかなと。




まー、池上も小松もヘロヘロやろって話ですが、試合を通してのマネジメントでちょっと失敗してるかなと。

レノファの前プレスや前線のディフェンス量を考えるに、今節のスタメンで言うと、浮田、小松、河野、吉濱が90分持つとは思えません。

まー、小松や吉濱は持ったわけですが、強度は下がりました。

そうなったとき、ベンチメンバー構成や、その選手を入れる場所やタイミング違くね?って思うわけです。


高井にもうサイドを任せるのは止めた方がいいですし、

森を入れた際、ワイドレーンで川井と被りそうだし、

「攻撃だー」で3バックにして、そこにヘナンを入れるも違うし、


まー、なんかぐちゃぐちゃなわけです。


とりあえず左サイドは高井、浮田、梅木以外に浮田ばりのポジショニングが出来そうな選手の掘り起こしはさっさとしておくべきなと。

個人的には池上が嵌まりそうな印象なんですが、古賀や田中陸を試しといてもいいんじゃないですかね。


せっかくというとアレですが、イウリがいないわけですから高井のセンターフォワードを見たかったんですがね。

サイドだとディフェンス意識の低さ、ボールロストが目立つので。


森の特徴が未だによく分からないのでなんとも言えないんですが、今節では高井とポジションを入れ換えたりしてました。

そうじゃなくて、普通に右ワイドで輝きそうな選手なので、しっかり5レーンに選手を置いて、その上で「右ワイド担当・森」を見てみたいですね。


ヘナンに関してはボランチなら硬い、センターバックとしては柔らかい印象なので、3バックに配置ではなくボランチでの起用をしてほしいですね。

今節の池上、高のボランチの様に、ディフェンスラインに入ってパスも出せますし、なによりファイター気質なので、本来ヘニキにやってほしい、「5レーン部隊の後ろの遊撃隊」が出来そうなんですよね。

いわゆるセカンドボール回収役です。

池上がボランチをやると、その動きだしで、パスコース作ったり、積極的にボールに絡んでくれるんですが、ボールホルダーに近付きすぎて、自身のマーカーもボールホルダーに連れてきちゃうんですよね。

もうキッツキッツ。

普通にボランチにヘナン置いといて、浮田の交代で左サイド池上が無難な気がしますけどね。

ヘナンが疲れたら、佐藤でもいいですし、楠本を試してみるとか色々やりようはあると思うんですがね。


清永はそもそもミスが多過ぎて何とも言えないですが、5レーンの「左ワイド担当・清永」は普通に試すべきものだと思うので、切り捨てずに、心折れずに頑張って欲しいです。





【総評】


ヘニキのセンターバック起用が色々物議をかもしてるようですね。

個人的にはとても良いと思ってます。

そりゃ、ビルドアップはアレですよ。

ですが、ビルドアップに期待してのヘニキセンターバックではないわけで。

兄貴には「被カウンター時、[個]の力で止める」ことが期待されてるわけです。

昨年でいうと菊池の役割ですかね。

サッカーはどうしてもミスが出るスポーツなのでカウンターを喰らうシーンがあります。

霜田流「僕たちのストーミング守備」で防ぎに掛かりますが、場合によってはそれも突破されます。

そうなったとき最後の最後は[個]の力で防ぐしかありません。

ヘニキの兄貴は1対1の強さがグンバツなわけで。

そりゃ1対2くらいで来られると厳しいですが、少なくとも1対1ではほぼ負けません。


その「被カウンター」を止められるが、ビルドアップは苦手なヘニキ

「被カウンター」の対処は苦手だか、ビルドアップは得意な楠本

を比べたとき、チームとしてヘニキを選んだってことかなと。


正直、ヘニキセンターバック起用の恩恵がでかすぎるので、ビルドアップに関しては、キーパーを吉満にするとか、ヘニキが蹴るときの前線の交通整理とかで解決して欲しいなと願っちゃいますね。

本来ならそういう役割を期待されてのサンドロだったのかなと思うんですが、謎のベンチ外。

開幕戦には先発してたので普通にスタメンで計算されてるはず。

でも出ないってことはケガかなんかですかね。

サンドロ帰ってくれば、ヘニキを本来の「5レーン部隊の後ろの遊撃隊」に回せるので早く帰ってきてほしいところ。

本来ヘニキにやって欲しい役割をヘナンにやってみてもらうとか、妄想するだにワクワクする要素が残ってるのは楽めるポイントですね。





今節前半メンバーであれだけのサッカーが出来たわけです。

これをベースに、

選手の掘り起こし。

新しい役割を与えてみる。

交代メンバー用のサッカーの構築。


などなど、やることはまだまだあるわけです。


それっぽい土台が出来たわけですから、ぶっ壊さずに大切に「僕らのやりたいサッカー」を積み上げてほしいですね。