2019年のJ2リーグも残り3分の1になって思うこと。

J2リーグ 第29節 VS V・ファーレン長崎戦

0-4

で大爆敗しましたね…。




結論から書きます。


私は「レノファが4バックを使用することに反対」です。


なぜなら今シーズンのメンバーに「合っていないから」です。


試合後のインタビューで霜田監督が

Q.良いサッカーができている試合もあれば、そうではない試合もある。安定できていない要因は?

A.メンバー表を見ていただければ分かるように、僕らのメンバーは平均年齢が若くて、Jリーグで100試合以上出ている選手がほとんどいない。長崎の選手は暑い中でもベテラン選手がしっかりゲームをコントロールする。つまらないミスをしない。経験値が高いと思わせるようなしっかりしたプレーができる。そこに強力な外国籍選手が加わる。そういう相手に対して、前節のようなゲームができるときもあるし、今日のようなゲームになってしまうこともある。年齢は言い訳にはしませんが、サッカーの中で経験値がどれだけ大事なのかというのを、毎試合やりながら思い知らされているというところです。


と答えているように、今シーズンのレノファはメンバーが若いです。

なので、経験値を問われるような、相手と同じ土俵で戦う限り勝てる確率は上がりません。

この試合で4バックの中央2枚のセンターバックを務めた楠本くんと菊地くんは、それぞれ2年目と1年目の選手です。
この2人で、味方のサポートはあれど無失点に抑えるのは非常に困難だと思います。


レノファは財政的に経験値のある選手を大量に獲得、確保するのが難しいチームです。
なので、勝つ手段として選手を「育成」するのはとても大事ですし、理解できます。


ただ、その「育成」にも工夫が必要だと思うのです。


楠本くんと菊地くんという1、2年目コンビが、玉田選手や呉屋選手という超ベテラン、J2リーグ得点王と真っ向勝負して得られるものってあるんでしょうか?

相手の4-4-2に対してこちらは4-2-3-1です。

この布陣だと各所必ず1対1になるシーンがあります。
経験値に勝る相手に、レノファの選手たちは何を根拠に勝てば良いのでしょうか?

その時は負けてしまっても、「高い授業料を払った」と割り切り、選手の成長を待つのでしょうか?

そもそも1、2年目の選手を4バックで使っていたらその内ファン・ダイクやセルヒオ・ラモスになれるのでしょうか?




私は違うと思います。




「出来ないことが出来るようになる」よう起用して成長を促すのではなく、「出来ることが増えるように」成長を促すべきではないかと思うのです。

楠本くんや菊地くんは走り込んでくる相手の選手を見逃したり、回りを見ていないが故のミス、丁寧にパスするべき所を雑に扱ってしまって奪われてカウンターを食らうなどといった注意不足な面があります。

ですが、お互い新人とは思えないほど競り合いに強かったり、見ている私たちが驚くほどの気持ちの強さを持っていたり、たまにとんでもない精度の美しいサイドチェンジを見せたりと強みを持っている選手でもあります。


これらは楠本くんと菊地くんに限らず、今シーズンのレノファの選手たち全員がそれぞれの強みと弱みを持っています。


その2019シーズンのレノファを構成してくれている選手たちの強みや弱みが一番噛み合うシステムで試合をしてほしいのです。


相手に合わせてシステムを変えたり、その選手たちの役割を変えて、果たして経験値の浅い選手たちは対応できるのでしょうか?

経験値が浅いなら浅いなりに、自分の強みを発揮できて、自分達の戦略を自信を持って続けられる戦い方をした方が、相手からしたら厄介なのではないかと思うのです。



今シーズン、レノファが最も自分たちの強みを発揮できているシステムは「3バック」です。



ディフェンスは3枚揃えておくことで、後ろに必ず1人残せます。
これによって中央の楠本くんはカバーに専念できますし、横の菊地くんは対人に集中できます。
組み立てに関しても、フリーになりやすい中央なら、楠本くんの元々のキック精度の良さをサイドチェンジで生かせますし、まだ細かいところのパス回しが不安な菊地くんも、後ろに必ず楠本くんというパスコースを用意しておくことで焦ってのミスを減らせます。

さらに4バック時には3トップのウイングの選手が中央に寄ってしまい、サイドバックも上がらないので、(ボールを持ってからパス&ゴーなりで上がろうとする)攻撃時に「横幅」が確保出来ませんでした。

このため、攻撃が「裏抜け」一辺倒になり、相手も対処しやすく、また攻撃がこれしかないので無謀な縦パスが増える。
それを奪われてカウンターを食らう。

という問題がありましたが、3バックで物理的に「ウイングバック」を置き、「横幅」を確保させる。

ウイングバックにはアイデアが豊富なパウロや、足元が上手く前線に何度も顔を出せる石田くん、伸び盛りの川井くんがいます。

明らかにウイングタイプではない山下くんや佐々木くんに、ウイングとしての動き方を勉強してもらうより、ウイングバックとしてサイドの攻撃が出来る選手がいるわけですからそういう風に使えば良いだけです。

本来中央の選手である山下くんや佐々木くんには、それぞれ得意のシュートの上手さや、ボールを受ける動きの良さでチームに貢献してもらえばいいと思います。




・その選手の強みがチームに必要だから起用する。

・チームが勝つためにその役割を選手に与え起用する。



後者の起用法が出来るほどレノファのメンバーに引き出しがあるとは思えません。

まずは、今いるメンバーが各々の強みも弱みも補完し合う形で、勝つために試合に出場し、経験を積んで成長してほしいと思います。

「勝つ」ために「育成」が必要であり、「育成」のために試合をしてはいけません。

チームとしてこういう動きが出来たら勝てる確率が上がるなー。という理想で育成に励んでもいけません。

今いるメンバーに出来ることで勝つ確率を上げる戦略を立て、その工夫と結果こそが選手の成長に繋がると思います。









10000人以上入ったホームの試合で、敗因の1つに「経験値が足りない」と挙げている場合ではありません。

経験値不足は開幕戦前に分かっていたことですから。

その上で工夫を持って戦う姿を楽しみにしておりました。

選手の成長はレノファが勝っていくためにとても大事なことです。
その方法が「相手がこうだからこうなってほしい(やってほしい)」という相手ありきなように感じられます。

相手に合わせてどうのこうのやれる時期ではないと思うので、思う存分自分達の強みを押し出して、それこそを糧にしてほしいと願ってたりしています。